海外移籍について

少し前になりますが欧州の移籍期間が終了しました。アジアカップメンバーからは権田選手と伊東選手、東京オリンピック世代からは中山選手と板倉選手が挑戦します。あとは昌子選手もですね。そして既に海外に挑戦している香川選手と中島選手と乾選手が移籍をしました。先日セルジオ越後さんの香川選手に対してのコメントに乾選手、岡崎選手が反応したことが話題になりましたね。言い方や伝え方は置いといて、私はどちらの意見も正しいと思うんです。

 

海外のチームに行っても試合に出れないなら意味がない。この言い方だとどうしても否定したくなりますが、試合に出れていなかった柴崎選手がアジアカップで試合を重ねるごとに良くなっていったことをみなさんも目にしてると思うので、試合勘はやはりある程度必要かと。

あとは中島選手も言っていましたが、しっかりと自分に合うと確信がもてるチームが理想ですよね。私なんかはどうしてもすぐビッククラブに挑戦してほしいと思ってしまうのですが、自分に合わないチームに所属してもしょうがないですからね。香川選手、乾選手、柴崎選手の様に加入後システムや戦術が変わってしまうこともありますが、これから海外に挑戦する選手には、とりあえず海外にという考えではなく、自分に合う、自分が試合に出れるチームから挑戦してほしいと思います。井手口選手は少しその感じがあったかな。いち早く海外に挑戦したいというのは素晴らしい意気込みだと思います。ただ少し焦りすぎてしまった感じも正直あるとは思います。

 個人的には海外に挑戦するにはやはりその国の言語の事前準備は必要だと思います。喋れなくても結果を残せれば問題ないかもしれません。実際に行って喋れるようになることもあると思います。でも逆に海外のチームの立場で考えればどうでしょう。決して日本人選手の能力の向上のために獲得しているわけではなく、チームのために獲得しているわけです。仮に同じ年齢、能力をもつ日本人選手と自国の選手がいれば当然自国の選手を使いますよね。それであれば喋ることができない選手はその時点でマイナスからのスタートになってしまうと思います。

私が最大のデメリットと捉えているのは、欧州との距離です。これまで多くの海外組が親善試合で帰国し、チームに戻ってコンディションを崩してしまうということがありますよね。逆もまた然りですが。こればっかりはどうしようもないことですし、日本に限った話ではなく孫興民選手が韓国代表であまり活躍できていないのも同様の理由が関係していると思います。長谷部選手がいまブンデスで大活躍され高い評価を受けているのも、代表を引退して良いコンディションをキープできているからというのも要因のひとつだと思います。

言わずと知れた遠藤保仁選手。代表試合出場数No. 1を達成できたのはJリーグで試合に出続け成長し続けたからではないでしょうか。

 

次は海外挑戦のメリットを。

昔から日本代表の試合を見ていると、試合後のインタビューで「自分の予想していたよりも相手の足が出てきた」とか「普段なら通るパスがカットされた」という意見をよく聞きます。実際そうなんでしょうね。私も学生時代に機会があって外国のチームと対戦したことがあるんですが、パターンといいますか、少し分かりづらいと思いますが日本人だったらこうくるだろうというのが通用しなかった思い出があります。印象深かったのは内田選手が以前にシャルケより日本代表のパスのスピードが遅いと話していたことを覚えています。失礼ですが、シャルケは世界レベルのチームであっても世界トップクラスのチームではないと思います。そのシャルケよりも日本代表のパススピードは遅いと感じた様で、これは海外に挑戦した内田選手だからこそ分かることですよね。
同様に海外組の選手はよく普段の練習から激しいということを言います。紅白戦でも実際の試合の様に削りにくるようです。これは日本ではあまり無い環境ですよね。たまに選手同士のいざこざがピックアップされることがありますが世界ではそれが日常茶飯事のようです。ハングリー精神というか、技術だけではなくメンタルの部分も乾選手や岡崎選手の言う成長であったり、もがく部分なのではないかと。ここ最近はJリーグも外国人選手が増えましたが、実際に海外に行って経験することが今後の人生のための良い経験に間違いなくなると思います。
単純にレベルも高いですしね。2部でも各国の代表選手がいる環境ですし、私も出れるチャンスがあるのであればそりゃCLに出たいですよ。
そのチャンスが多いのはやはり海外チームに所属している選手でしょう。 

 

よく日本人の技術力は高いと耳にします。私はまずそこに少し違和感を覚えるのですが、まあよくそう言われることは事実なので今回は置いておきます。技術が高いのにまだまだ強豪国に比べたら海外で活躍している選手が少ない。つい最近史上初オール海外組スタメンになったばかりですからね。ユースチームの段階では日本のチームが世界トップクラブのチームに勝つことが多々あります。先日ベンフィカへの移籍が発表された小久保玲央ブライアン選手もユース時代の国際大会でレアル・マドリードベンフィカ相手に活躍し、実際にオファーを掴み取りました。 
技術が高く、ユースの年代では国際大会で良い結果を残せる。しかし、それがプロになるとなかなか苦戦する。その理由はまずは体格ですよね。プロに比べて体格のハンデが少なく、自分のテクニックが通用する。しかし大人になるにつれて体格に差が出てきてしまい、最初に書いたように自分の予想していたプレーができなくなってしまう。
あとはまだ日本全体として、戦術に乏しいというのは否定できないと思います。帰化選手を多く起用し、体格で劣る上にバルサ式のトレーニングや戦術で鍛え上げられたカタール代表に完敗してしまったのはある意味必然だったのかもしれません。この問題は海外での普段のトレーニングだけでも改善できることだと思います。

名波監督や宮本監督など、日本にも海外を経験した監督が増えてきました。上に書いた体格や日本とは異なる戦術を学んだ監督が増えていくのは良いことだと思います。

 

ここまで書いといてなんですが、結局のところ私には国内と海外どちらが良いのか分かりません。と言うか、どちらにもメリットデメリットはあるでしょう。ただ、自分にもしそのチャンスがあるなら間違いなく海外に挑戦しますし、その挑戦に対してなにか思うのは勝手ですが、他の選手を妨げるようなことはあってはならないことだと思います。