海外移籍について②

今夏、多くの日本人選手が海外に挑戦することが決まりました。

久保建英レアル・マドリード
安部裕葵(バルセロナ
安西幸輝ポルティモネンセ
鈴木優磨(シント・トロイデン)
シュミット・ダニエル(シント・トロイデン)
菅原由勢(AZ)
天野純スポルティング・ロケレン)
中村敬斗(トゥエンテ)

パっと思いつくのはこのくらいですかね。もし知識不足、書かれていない選手がいたらすみません。それにしてもBとはいえ、レアル、バルサJリーグチームから移籍するという字面は凄いですね。まさしく新黄金世代の到来といったところでしょうか。思えば黄金世代も自国開催のW杯に向けてJFAが力を入れた結果だと聞いたことがあります。そして来年に控える東京五輪。正直、現状は安部選手、菅原選手、中村選手は東京五輪のメンバーに選ばれるか微妙なところだと思います。非常に難しいところではあると思うんですよね。来年に控える東京オリンピックには絶対に出たいと思います。18名しか選ぶことができず。仮に海外に挑戦して試合に出れなかったら選ばれる可能性は低くなってしまいますが、だからといってこのままJリーグで試合に出続けても、安泰とはいえないくらい選手がいると思います。OAもありますし。そんな中、エース候補である小川選手が出場時間を求めて移籍が発表されました。あとは三好選手も気になります。素晴らしい選手なのは間違いないですが、前にも書いたように同じ左利きの堂安選手、久保選手がいて、最近は途中出場が多いので、なにか動きがあるかもしれません。コパで世界に印象を残したことは間違いないですし。
少し前まで、U世代でJ1で出場している選手はまだ少ない印象がありましたが、今世代はJ1でレギュラーでもメンバーに選ばれるか分からない選手が多くいます。本当に楽しみですし、逆に言うと良いメンバーがたくさんいるので、森保監督の人選に対して色々な意見が出ることがあるでしょうね。私なりにもメンバーを考えたりもするのですが、私にとっては完璧なメンバーでも、見てくださった方にとっては理解のできない人選の可能性も十分にありますから、監督は本当に難しいですね。ある程度の結果を出しても不満を言われてしまいますから。


そして、安西選手、鈴木選手、シュミット選手、天野選手はサッカー選手としてはもう若くはない。そんななか、日本代表、そしてサッカー選手としてさらなる成長をするために今回挑戦するとのことでした。鈴木選手以外は既に森保JAPANでプレーをしている選手たちです。もしかすると、このままJリーグでプレーをしていた方が代表に近いかもしれません。でも当然プロの選手たちですし、例えハイリスクであろうとも、ハイリターン、挑戦を求めるのは当たり前のことなのかもしれません。


私はスラムダンクが大好きなのですが、こんなセリフがあります。
アメリカの、その空気を吸うだけで僕は高く跳べると思っていたのかなぁ…。」
読んだことのある人であれば当然有名なセリフなのですが、安西先生の忠告を無視し、アメリカに挑戦して、失敗してしまった谷沢選手の言葉です。私が仮に谷沢選手の立場であったら、同じ行動をしていたと思うんですよね。大学バスケ界の中でも上位にいるはずの自分が、普段は監督に基礎ばかりさせられる(もちろん安西先生には明確な理由があってのことでしたが)。そんな状況であれば、さらなる高みを目指し、チャンスがあるのであれば世界に挑戦したいという谷沢選手が間違っていたとは思えないんです。


ただ、運がなかった。もしくは準備が足りなかった。英語が喋れず、身体能力の高さで活躍していた谷沢選手が本場アメリカで活躍できるわけないんですよね。そして入ったチームも個人プレーばかりでチームとして成り立っていなかったそう。私はこの部分を読み返す度に思い出す選手がいるんですよね。これをここまで読んで下さった方もおそらく想像がつくのではないでしょうか。


以前に本田選手が「とりあえず海外に出ろ」的な発言をしたそうですが、私はそれには賛同できません。以前に「海外移籍について」でも書いたように、絶対に事前の準備は必要だと思います。オファーがきたチームのサッカー、そしてその国の言語の準備は必須だと思います。


そしてもうひとつ私が一番大切だと考えていることが、しっかりと前所属チームにお金を残すこと。そろそろ日本人が世界にいくために自身の価値を安くするというのはやめるべきではないでしょうか。今やW杯決勝トーナメント進出も決して驚きではなく、選手個人でも多くの選手が海外に挑戦できるようになりました。それは世界が日本の若い選手に注目しているということだと思います。ただ、将来有望な若手を獲得し、プロの生活に慣れてチームで活躍する頃には、安いお金、もしくはタダで海外に挑戦してしまう。これだとJリーグになんのメリットもないですよね。経済面も人気も低迷してしまうこともあり得ると思います。


選手自身にもメリットがあって、安い移籍金で獲得した選手は活躍すればラッキー程度の扱いになってしまうんですよね。逆にある程度高い金で獲得した選手は仮に活躍できなくとも、将来的にそれ以上のお金で売却するために、多少なりとも辛抱強くその選手を使う傾向があります。


日本だけでなく、アジアの希望でもある久保選手にはもう少しその部分は考えてほしかった。久保選手なら間違いなく移籍金が発生してもほしいといったチームはあったでしょうし、その自信もあったと思います。代理人にも自身のことだけでなく、Jリーグのことも少し考えてほしかったです。


仮に久保選手がブラジル人だったら、一体いくらの値がついたのでしょうか。